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はじめに
2012年度診療報酬改定では在宅医療の促進が表され,高齢化等に伴う在宅医療の需要の高まりや在宅医療を担う医療機関等の機能強化の重要性について述べられている.こうした背景は,在宅時医学総合管理料や特定施設入居者に対する訪問診療料の引き上げの根拠となり,診療報酬上の評価や対象患者の要件等を見直すことで在宅での療養環境の充実が図られている.
一方,外来でのリハビリテーションにおいて,現在は毎回医師の診察(いわゆるリハビリテーション前診察)が必要であるが,状態が安定している場合など,医学的に毎回の診察を必要としない患者が含まれている現状を鑑みて,リハビリテーションスタッフ(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士等)が毎回十分な観察を行い,直ちに医師の診察が可能な体制をとりつつ,カンファレンス等でリハビリテーションの効果や進捗状況を確認している場合に限り,医師の包括的な指示のもとにリハビリテーションを提供できるよう,評価体系が見直された.これに伴い,外来リハビリテーション診療料が新設されたが,算定日から一定期間はリハビリテーションを実施した日についての初診料,再診料,外来診療料の算定は不可となっている.さらに,外来リハビリテーション診療料の算定に際しては,毎回のリハビリテーション後にカンファレンス等で医師がリハビリテーションの効果や進捗状況を確認し,診療録に記載することが義務づけられている.ここで,外来リハビリテーション(外来理学療法)を実施するに当たり,毎回のリハビリテーション前診察を継続するのか,外来リハビリテーション診療料の算定に向けてカンファレンスの時間や仕組みを考慮した業務システムを構築するのかという選択を迫られることになる.
「外来」とは,文字どおり病院に通って診察・治療を受けることであり,本稿の主題である「外来理学療法」とは,病院に通って理学療法を受けることと捉えられる.したがって,外来理学療法の対象者は自宅またはそれに準ずる施設から通院できる人となる.前段で述べたとおり,近年は在宅医療の重要性,必要性が強調され,それを否定する意見は全くないと言っても過言ではない.通院での医療と在宅医療が相反するものと仮定した場合,理学療法においても外来から在宅へと,その重要性はシフトしていると考えられる.そこで,本稿ではこのような社会情勢を踏まえたなかで,外来理学療法について,いくつかの研究論文を概観した上で,外来理学療法の問題と限界,競合する職種と業態,および自由診療も含めた代替となる戦略について述べる.
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