ひろば
政治哲学と理学療法士
奈良 勲
1
Isao Nara
1
1金城大学
pp.440
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102290
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- 文献概要
哲学は知の愛と言われ,学問の起こりである.そもそも現在の科学も哲学から派生したものであり,哲学はあらゆる分野の基盤となることから,○○哲学などと称されることは普通のことである.政治哲学は政治学の1分野であると同時に哲学の1分野でもある.人類の誕生以来,小さな集落などで共同生活を営んできた人間は,社会的動物とも呼ばれる.しかし,誰もが命の安全を含め安心できる生活を願うがゆえに,古今東西,その過程で生じる利害の対立が常に付きまとう課題となる.そのわけは,動物の中で最高の理性を備えた人間であっても,個々人の自己中心的な利益を優先したいからであろう.
よって,共同体の秩序を維持するために,人々が従うルール,統治策などを創り維持するための政治(politics)は必然的な事象であったと言える.原始的で小さな集落においては,主に長老格の人間の英知によって共同体の秩序が維持されていたようである.しかし,1つの集落だけではなく,近辺の他の集落や種族の異なる集落との利害関係にも対応する必要があった.現在では,地球規模での地域や国としての利害関係への対応もますます重要となり,煩雑な様相を呈していることは言うまでもない.
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