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編集後記
吉尾 雅春
pp.280
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101912
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春弥生,spring.Springのもつ意味は春,泉,バネ,跳躍,原動力,復元力,源,始まり,大潮などなどで,そしてそれぞれに相当する動詞があります.春には芽がふき出し,hot springは温泉が噴き出します.大潮は干潮と満潮の差がもっとも大きくなる潮で,新月と満月時から1~2日後の太陽,地球,月が一直線になったときに起きると言われています.なるほど,太陽と地球と月が一直線になってスタートラインに着き,いよいよ飛び出すぞというわけですか.ヨーロッパではその昔,新年は4月から始まっていたそうですから,春がspringというのも納得です.いずれにしてもいよいよ動きが始まる,噴き出す,あるいは躍動感があるのがspringです.ことばのもつ意味を改めて調べてみるとなかなかおもしろいですね.
さて,直立二足動物であるヒトの立位,歩行を考えるとき,股関節や膝関節の支持性のもつ意義はかなり大きいわけですが,脳卒中になると,足関節を含めた下肢の動きを伴った支持性を得て歩行につなげていくことは至難の業です.関節軟骨は濡れた氷よりも滑りますからなおのことです.そこで下肢装具を用いることがありますが,その用い方は医師や理学療法士の考え方によってまちまちです.治療用装具として積極的に用いるグループ,装具は動きを止めるとして原則的に用いないグループ,ハンドリングが大切であるとして入院リハビリテーション過程の後半まで用いないグループ,ある特定のプラスチック装具を好むグループ,長下肢装具を積極的に取り入れているグループなどなど様々であり,理学療法士全体としての共有知識として存在していない現状があります.
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