書評
—廣瀬秀行,清宮清美(編著)—「障害者のシーティング」
杉元 雅晴
1
1神戸学院大学 総合リハビリテーション学部
pp.473
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200213
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編集者であり著者の廣瀬秀行先生は,東京理科大学,日本大学大学院理工系で学んだあと,理学療法士の免許を取得した経歴をおもちである.その後も,芝浦工業大学で博士号を取得されている.国立障害者リハビリテーションセンター研究所に27年間在籍し,車椅子に関する研究をしてきて,その集大成として『障害者のシーティング』を編集された.まさに,工学的視点から人体の姿勢や動作を診てきて,車椅子と体表との接触面に起こる病態像に関して注意深く検討されてきた.また,理学療法士として最初に日本褥瘡学会に入会され,国立障害者リハビリテーションセンター研究所を定年退職されるまで,日本褥瘡学会の理事として活躍されてきた.物静かであるが,秘めたる情熱をもった研究者である.先生には私が勤めていた県立リハビリテーション病院で,「褥瘡をつくらない車椅子での乗車姿勢」について15年前に講演をしていただいた.そのときから,私には褥瘡が身近な疾病となった.
本書を読ませていただいてまず感じたことは,車椅子が処方され,適合した車椅子を障がい者に提供されるまでの製作過程に必要な知識を網羅した手引き書であり,各項目は専門家が執筆し,大変充実した内容であるということである.
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