入門講座 ベッドサイドでの患者評価 6
糖尿病
片田 圭一
1
Katada Keiichi
1
1石川県立中央病院リハビリテーション部
pp.1031-1040
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100703
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はじめに
2002年,厚生労働省生活習慣病対策室の調査では,わが国の糖尿病患者数は約740万人,糖尿病を否定できない者を含めると1,620万人と推定されており,患者数の著しい増加が社会問題化している.同時に,われわれが対象としている脳血管障害や運動器疾患患者にも糖尿病を合併していることが多く,理学療法を実施する際には糖尿病に関する病態を踏まえた十分な配慮が求められてきている.また,糖尿病に対する運動療法の効果は諸家によって報告されており,糖尿病学会によって編集された「糖尿病診療ガイドライン」でも,運動療法効果のエビデンスが示され,運動の実施が推奨されている.しかし,糖尿病は骨折などの運動器疾患や,明らかな運動麻痺をもつ中枢神経系疾患とは違って外見上の区別が付きにくく,明確な評価が困難に思われがちである.加えて,糖尿病の進行により出現する神経障害や腎症,網膜症などの合併症の程度によって運動を制限することや,離床および運動時の安全対策に十分配慮する必要がある.
そこで,今回の入門講座では新人理学療法士がベッドサイドで「糖尿病患者」の理学療法を実施する際に,検査データや患者の反応・言動から多くの情報を得て,自信をもって適切に治療を行うための知識と具体的方法について概説する.
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