文献抄録
上肢随意運動中の腰部多裂筋の深層線維と表在線維の筋活動について
中島 雅美
1
1西日本リハビリテーション学院
pp.699
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100550
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研究データの背景についての概要:腰部多裂筋が,腰椎の安定化と運動の調節に関与することは広く認められている.腰部多裂筋は表在線維と深層線維に分かれており,表在線維は腰椎伸展と腰椎前弯の調節に働き,深層線維は腰椎個々の椎間剪断力を制御している.しかしこの二つの線維の働きの違いについての研究データは,現在までに豚の生体モデルで得られたものだけである.今回著者らは「多裂筋表在線維が腰椎伸展に関与しているなら腰椎伸展運動の瞬間にその活動性は認められるはずである」と仮説を立てた.
方法:被験者は平均年齢29±8歳,平均身長175±0.07cm,平均体重74±11kgの健常者8名(男性6名,女性2名).椅座位にて筋活動電位を記録した.筋内針電極でL4付着の多裂筋深層線維と表在線維,腹横筋,脊柱起立筋を測定し,表面電極で三角筋を測定した.上肢随意運動は上肢単一運動と上肢反復運動の2種類で,上肢単一運動は立位にて,光に反応して左上肢を一方向(上肢体側下垂位から①肩関節約60°屈曲,②肩関節約40°伸展のどちらか)にできるだけ速く動かした.上肢反復運動は立位で左上肢肩関節反復運動(①上肢下垂位から肩関節屈曲15°屈伸反復運動,②肘伸展で肩関節90°屈曲位から肩関節15°屈伸反復運動)を10~15秒間行った.「上肢単一運動の開始と各筋の筋活動開始の関係について」と「上肢反復運動中の各筋の筋電図活動パターンについて」各筋の間で比較した.
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