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Physiotherapyは英国の学術雑誌であるが,2004年度で90巻という歴史のある雑誌で,日本でも比較的多く読まれている.この第90巻から年4回の発行となった.90巻には論文29件,論説5件,ブックレビュー14件,ビデオレビュー1件,抄録4件,雑記4件などとなっており,発刊回数の減少に伴い論文,論説,レビューともに大幅に減少しているが,その分論文のさらなる質的向上に期待したい.論文の分野を日本理学療法士協会の専門領域に従い基礎系,神経系,骨・関節系,内部障害系,生活環境支援系,物理療法,教育管理系に分類し,分類困難なものはその他とした.研究デザインについては明記されているもの以外はその内容から判断した1).それぞれの分野から,日本ではあまり見られないという観点から筆者らの興味を引いた論文を紹介したい.
基礎系
○ハムストリングスの柔軟性に対するPNFパターンの要素を用いた自己ストレッチとセラピストが行うPNFテクニックの比較
Schuback B, et al:A comparison of a self-stretch incorporating proprioceptive neuromuscular facilitation components and a therapist-applied PNF-technique on hamstring flexibility.(3):151-157
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研究デザイン:群ランダム化比較試験
ハムストリングスの柔軟性はスポーツ分野において,障害の予防や筋・姿勢の不均衡改善,関節可動域の維持,パフォーマンスの向上に大きく関与する.本研究では,ハムストリングスの柔軟性に対する効果をPNFパターンの要素を用いた自己ストレッチと,セラピストが行うPNFテクニックで比較した.対象は20~55歳の健常成人40名で,コントロール群14名,自己ストレッチ群(Ⅰ群)12名,PNF施行群(Ⅱ群)14名の3群に無作為に分けた.自己ストレッチは,下肢伸展挙上テスト(SLR)の最終域で保持し大腿後面で両手を組み,足関節底屈,伸展―外転―内旋パターンに抵抗を加え筋収縮を行わせた.15秒間筋収縮,15秒間リラクゼーションのプログラムを4回実施した.Ⅱ群は,伸展―外転―内旋パターンとその拮抗パターンである屈曲―内転―外旋パターンを用いてSlow Reversal,Hold-Relax手技を実施した.適用方法はⅠ群と同様で,いずれも右股関節で実施した.主な測定項目は,実施前後の股関節SLRの角度である.その結果,実施前後において,Ⅰ群では9.6°の改善が認められ,Ⅱ群では12.6°の改善が認められた.Ⅰ群,Ⅱ群ともにコントロール群と比較し有意な改善があったものの,Ⅰ群とⅡ群との間には有意差は認められず,いずれの手技も臨床的に有効な関節可動域の増大が確認された.これらより,PNF要素を含んだストレッチ方法を対象者に指導することで,自己ストレッチでもセラピストのPNFテクニックと同様の効果を得られる,と述べている.
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