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当苑は入所100床(ショートベッド含む)と通所リハビリテーション1日35名定員の介護老人保健施設(以下,老健)である.入所100名に対して1人のPTまたはOTの配置基準(平成15年,リハ体制加算の場合は50名に1人)の中で,リハビリテーションスタッフ(以下,リハスタッフ)の大きな役割として考えなければならないのは,リハビリテーション(以下,リハビリ)概念(広義)について全職種に理解をはかること,そのうえで適切なリハビリが展開されるよう専門職としての動きを考えて働くことではないだろうか.
介護保険制度ができ,老健=リハビリ施設という位置づけが明確にされたように思う.介護保険施設と言われる3種類の施設の中で,リハスタッフの位置づけが義務付けられているのは老健だけだからである.われわれリハスタッフが勤務していることで何がどう違い,どのような違いが出せるのかということが問われてくるだろう.まずはチームを組んでリハビリアプローチ(生活リハビリ)を行うことができるのが一番のメリットではないだろうか.そこで考えなければならないことは,他職種のスタッフがどれほどリハビリ概念を理解できているかという点である.最近の看護・介護・相談員・栄養士の学校では少しずつリハビリ概念の教育が導入されてきたが,今現在働いているスタッフは,ほとんどの人がリハビリ概念を学んでいない.だとすれば老健の中ではリハスタッフが他職種へ概念を伝えるべきであると思う.チームを組むうえで最も重要なのはお互いの職種の理解と協力である.共通の認識がないと,お互いに専門性ばかり強調しすぎてしまい,うまくいかなくなってしまう.私たちが目的とするものは,利用者1人1人へのリハビリアプローチであるということすら見失ってしまうのである.
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