増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
1)血小板機能検査
A.検査法
(2)毛細血管抵抗性
藤村 欣吾
1
1広島大学原爆放射能医学研究所内科
pp.150-151
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906501
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■測定の意義
血管は血液を液状に保ちながら,内腔に保持し,種々の物質の輸送経路として重要な役割を担っている.血管の破綻は出血として表現され,これに対して生体はまず血管の収縮による破綻部位の機械的な縮小を図り,止血への方向づけをする.また血管内皮細胞におけるvon Willebrand因子(vWF),第V因子などの凝固因子やコラゲン,トロンボスポンジン,フィブロネクチン,エラスチンなどの高分子接着蛋白の生合成を高め,止血に作用する.一方,破綻面に露出した内皮下組織,特にコラゲンやフィブロネクチンなどにはvWFを介して血小板が粘着して活性化されるとともに,凝固因子も組織破綻によって生じる組織因子を介して活性化される.この結果,血管壁,血管内皮細胞,血小板,凝固因子が総合的に作用して止血が完了する.
これら一連の止血機構をin vivoで総合的に検査する方法の一つとして,毛細血管抵抗試験は位置づけることができる.すなわち,本試験はこれら止血機構によって裏づけられている毛細血管の脆弱性と透過性を併せ測定していることになる.
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