増刊号 臨床血液検査
I.形態学的検査
1.形態学的検査の実際
8)染色体検査—造血器疾患を対象として
篠原 多美子
1
1日本赤十字社医療センター中央検査部
pp.55-64
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906483
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はじめに
造血器疾患が主たる対象となるため,ここでは骨髄細胞の染色体検査の技術を述べ,分析に当たっての注意点を説明し,なお種々の造血器疾患に認められる染色体異常の一部を示したいと思う.
一般に,白血病細胞の染色体は,分裂像が多く得られないことや鮮明でないことから,分析が困難であり,染色体検査を行うことを躊躇する傾向がある.だが,一方,骨髄は分裂旺盛な細胞を得る数少ない部位であり,組織培養の設備がなくとも,染色体を実際に見てみたいという場合,最も扱いやすい材料であることもまた事実である.したがって,染色体分析に必要な標本を作製する技術は,それ自体が分裂能をもつ細胞をいかに多く,いかにきれいな分裂像としてとらえるかに尽きる.
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