トピックス
血漿FDP
雨宮 憲彦
1
1山梨大学医学部附属病院検査部
pp.1271-1274
発行日 2002年10月1日
Published Date 2002/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906422
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はじめに
生体内の線維素溶解現象(線溶)を反映するフィブリノゲン・フィブリン分解産物(fibrinogen/fibrin degradation products;FDP)の検査法は,大別するとすべてのFDP亜分画を捉える総FDP測定法(t-FDP),FDP-E部位を捉えるFDP-E測定法(FDP-E),フィブリン分解産物のみを捉えるDダイマー測定法がある.
現在検査室で最も使用されている測定法は,プラスミンによって分解されたFDPを抗ヒトフィブリノゲンポリクローナル抗体感作ラテックスと凝集反応させて定量する免疫学的測定法である.この試薬に用いられているポリクローナル抗体は当然フィブリノゲンとも反応するため血清化処理した検体を用いる必要があった.しかし,血清化処理で完全に除去できなかった残存フィブリノゲンや可溶性フィブリンによって生じる偽高値や,凝固の過程でFDPがフィブリン内に取り込まれることによる偽低値の問題などが指摘されていた.1990年ごろからフィブリノゲンと反応しない抗FDPモノクローナル抗体が開発され,測定キットとして市販された.これらのキットは血漿で測定可能な利点を有していたが,用手法による半定量法やEIA法のため煩雑で簡便性に欠けるなど,検査室のルーチン検査としてさほど普及しなかった.
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