けんさアラカルト
大腸癌スクリーニング偽陰性の原因
志和 正明
1
1財団法人香川成人医学研究所検査室
pp.872-873
発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906301
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はじめに
便潜血検査(fecal occult blood test;FOBT)は定性法が広く使用されているが,近年数値化が可能となり,われわれは定性法の限界と問題点を明確にすることで,便中ヘモグロビン(Hb)精密測定の有用性について報告を行った.便中Hb精密測定の有用性の1つとして,Cut off indexのEBM(evidence based medicine)に基づく設定が可能であることが挙げられるが,FOBTを用いた大腸癌スクリーニングにおいては,偽陰性と偽陽性が問題となる.その1つに,進行癌においてもFOBT偽陰性が存在することである.しかし,その発生のメカニズムはいろいろ論議されているが,いまだ解決されていないのが現状である.その1つの理由にFOBTが定性法主流であることに起因していると考えられる.近年,便中Hb精密測定が行えるようになり,定性的視点から定量的視点でFOBTを捉らえることができるようになった.定性法ではわからなかった大腸癌の出血動態が明らかになり,それに伴い偽陰性の発生メカニズムも明らかになってきた.今回は,偽陰性の発生メカニズムについて述べたい.
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