オピニオン
臨床に役立つものは率先して引き受けよう—肝移植検査を例に
戸塚 実
1
1信州大学医学部附属病院中央検査部
pp.1359
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906047
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チーム医療における臨床検査技師
「チーム医療」という言葉が言われて久しいが,その本質を追求することは意外に簡単ではないようである.著しく高度になってきた医療において各分野の専門家がプロフェッショナルとしての知識や技術を持ち寄り,患者さんに最高レベルの診療を提供することが目的である.
私たち臨床検査技師は,臨床検査のプロとして医療に参加することを要求されている.臨床検査の直接のユーザーは医師であるといってもいいが,その背後には患者さんのメリットという大前提がある.「臨床に役立つものは率先して引き受けよう」.確かに重要なことである.ただし,ここで考えておきたいことは,単に臨床の忙しさを緩和する目的だけの受動的なお手伝いが臨床検査技師の本質的な診療支援になり得るのだろうか.既に臨床に進出し,患者さんへの検査の説明や病棟採血などに積極的・能動的に取り組んでいる病院もあると聞くが,それはそれで医療に大きく貢献していることであろう.しかし,私は必ずしも物理的な臨床への進出だけがチーム医療に参加することだとは考えていない.医療人の一員として,またプロとして常に専門知識と技術の向上に努めたうえでの知的進出の延長線上に物理的な進出があると考えることが重要だと思う.
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