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生体肝移植例における血清抱合ビリルビン
大竹 和子
1
1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部臨床化学I
pp.1220-1222
発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906012
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はじめに
血清ビリルビンの測定は肝・胆道系の疾患や各種黄疸の診断・鑑別,治療および予後の観察に極めて重要な項目の1つである.特に,抱合ビリルビン(conjugated-bilirubin;CB)のみを検出することは胆管障害の回復期や生体肝移植術後の肝機能の評価に病態をより鋭敏に反映するとされている.ビリルビンの測定には従来からジアゾ法が多く用いられてきたが,近年,化学酸化法(バナジン酸法,亜硝酸法),酵素法などによる測定が普及してきた.これらの測定法による分類は,ジアゾ試薬との反応性に基づいて,直接ビリルビン(direct-reacting-bilirubin;DB),間接ビリルビン(indirect-reacting-bilirubin;IB)の2種に大別され,臨床的意義が議論されている.しかし,分画技術の進歩によりビリルビンは血中では,4種類の存在様式があり,これらの分画とこれまで一般的に認識されてきた従来の反応性による分画が必ずしも一致していないことも確認されてきている.
本稿では,抱合ビリルビンを選択的に測定する酵素法を原理とする試薬を用いて生体肝移植2症例における術後経過の直接ビリルビン値を測定し,バナジン酸酸化法での直接ビリルビン値と比較し,その有用性について紹介する.
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