臨床検査に必要な統計処理法・20
定性検査・半定量検査データの統計処理—カイ二乗(x2)検定は万能ではない
細萱 茂実
1
1山梨医科大学医学部附属病院検査部
pp.1109-1113
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905983
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はじめに
臨床検査で扱うデータは,その数量的性質から量的データと質的データとに大別される.量的データとは,血中成分の濃度や細胞数の測定値などで,定量検査の一般的な成績を指す.これに対し,質的データとは検査結果が陰性と陽性,あるいは-,±,1+,2+,……となる定性・半定量検査データ,あるいは血液型などの名義尺度の検査成績である.量的データについては,平均や標準偏差などよく知られた統計量がデータの要約に利用され,またt検定をはじめ各種の統計的手法を利用する機会も多い.しかし,質的データの統計処理については,カイ二乗(x2)検定など一部の手法を除き,広く一般に利用されている手法は少ない.そこで,検査成績が陰性・陽性のように2分類となる二値データ,および-,±,1+,…のようにデータのカテゴリーに自然な順序がある定性・半定量検査データの統計処理法について整理する.
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