ザ・トレーニング
定性試験データの検定
飯塚 悦功
1
1東京大学工学部反応化学科
pp.361-364
発行日 1986年4月1日
Published Date 1986/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203639
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1.定性試験データ
本誌13巻3号に「検定法の選び方」と題して小さな解説を書いた1).その際,二元表にまとめられる計数値データの解析において,単なる"分割表のχ2検定"ですまない場合もあるとの注意を促すために少し特殊な例を挙げた.実は統計の専門家にとっても,計量値データの解析よりは計数値データの統計解析の方がずっと難しい.検査室の方々が手にする統計解析のテキストにも,計数値の解析はあまり詳しくは触れられていない.そこで今回は,定性試験データの解析を取り上げる.紙数が限られるので,あまりていねいには解説できないことを許してほしい.
定性試験データが-と+のように二つの値しかとらないのなら,解析は"2×2分割表"が基本となる.ところが,(-,±,+,++,+++)などのように三つ以上の値をとる場合,通常の分割表の検定では不十分な場合が多い.-,±,……,+++などの分類は"自然な順序がある"と呼ばれ,赤,青,黄などの分類とは区別する必要がある.例えば,表1のようなデータが与えられたとしよう.A1,A2あるいはB1,B2は二つの処理,例えば治療法とする.-,±,…は定性試験の結果である.
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