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HIVのサブタイプ
有吉 紅也
1
1国立感染症研究所エイズ研究センター
pp.1034-1037
発行日 2001年7月1日
Published Date 2001/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905963
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HIVの多様性
HIV(human immunodeficiency virus;非免疫不全ウイルス)は,レトロウイルスに属するRNAウイルスである.HIVは,生活環の過程で,RNAゲノムを鋳型としてDNAゲノムを複製する逆転写過程が必須である.逆転写酵素が校正機構を有しないため,逆転写を経るごとに約9.7キロベースのゲノムに少なくとも1つの突然変異が生じる.その結果HIVは,感染者の中で,似通ってはいるが厳密には少しずつ遺伝子配列が異なるHIVゲノムの集団(クワシスピーシーズ)として存在する.またHIVは1つのウイルス粒子の中に2つのRNAゲノムを有し,逆転写過程で双方のRNAゲノムを鋳型として1つの二本鎖DNAゲノムとなる.したがって1つのウイルス粒子に異なったRNAゲノムが挿入された場合,両者のゲノムがモザイク状に入り混ざった組換えHIVウイルスが生まれる.
このように,逆転写過程の突然変異と組換え現象によりHIVは自身の多様性を増大し,それぞれの宿主環境において,最も生存に適応したウイルスが選ばれ生き残ることが繰り返されている.加えて宿主環境は,免疫的抑圧など個人によって異なるため,HIVが異なる個体に伝播することに新たな多様性が生じる.
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