増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
9.中枢神経系の日常染色法
ニッスル染色
阿部 寛
,
園上 浩司
,
水谷 喜彦
,
須田 耕一
pp.814-816
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905899
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目的
中枢神経系の主たる細胞は神経細胞で,大きさと形は多種多様である.神経細胞の突起には樹状突起と軸索突起の2種類がある.神経細胞の細胞質と樹状突起では,塩基性タール色素で多くのニッスル物質(Nissl substance)が染め出される.このニッスル物質は電顕的には多くのリボソームを伴った粗面小胞体の集合体であり,化学的にはリボ核蛋白質(ribonucleoprotein)である.ニッスル染色(Nissl stain)は神経細胞の核や病変で変化するニッスル物質を塩基性タール色素(クレシルバイオレット,トルイジンブルー,メチレンブルーなど)で特異的に染め出すのが目的であり,神経病理学では基本的な染色法の1つである.最近では髄鞘をルクソール・ファーストブルーで,神経細胞のニッスル物質をクレシルバイオレットで同時に染め出すクリューバー・バレラ染色(Klüver-Barrera stain)に代用される傾向にある.
ここでは,ホルマリン固定,パラフィン切片で一般的に行われるクレシルバイオレット染色液によるニッスル染色について述べる.
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