Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
呼吸器(6) 腺様嚢胞癌
堀内 啓
1
,
荒井 政和
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断科
pp.346-348
発行日 2001年4月1日
Published Date 2001/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905777
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臨床的特徴
腺様嚢胞癌は,気管支付属腺由来で,睡液腺型の特殊な肺癌の1つであり,他には粘表皮癌がこのグループに属する.発生率は原発性肺癌全体の0.2%以下である.通常は,気管下部や主気管支・葉気管支などの太い気管支に発生し,それより末梢に発生することはまれである.症状は,気道閉塞あるいは気道刺激に起因する症状を呈する.腫瘍が気管支内に発育するため,単純X線写真では腫瘤を見つけにくいが,気管支ファイバーでは容易に発見できる.腺様嚢胞癌は,しばしば気管支壁に沿って浸潤性に発育するため,不完全な切除となりやすく,術後何年も経過してから局所再発を起こすこともときに経験される.遠隔転移はまれである.予後は,通常の肺癌ほどではないが,他の気管支腺由来の腫瘍と比べると比較的悪い.担癌状態で長期生存する症例もあり,通常の肺癌とは生物学的態度が異なる.
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