増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第1章 病理 細胞像からここまでわかる
4.呼吸器
6)腺様嚢胞癌
堀内 啓
1
,
荒井 政和
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.960-962
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100762
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
臨床的特徴
腺様嚢胞癌は,気管支付属腺由来で,唾液腺型の特殊な肺癌の1つであり,他には粘表皮癌がこのグループに属する.発生率は原発性肺癌全体の0.2%以下である.通常は,気管下部や主気管支・葉気管支などの太い気管支に発生し,それより末梢に発生することは稀である.症状は,気道閉塞あるいは気道刺激に起因する症状を呈する.腫瘍が気管支内に発育するため,単純X線写真では腫瘤を見つけにくいが,気管支ファイバーでは容易に発見できる.腺様嚢癌は,しばしば気管支壁に沿って浸潤性に発育するため,不完全な切除となりやすく,術後何年も経過してから局所再発を起こすことも時に経験される.遠隔転移はまれである.予後は,通常の肺癌よりは良いが,他の気管支腺由来の腫瘍と比べると悪い.担癌状態で長期生存する症例もあり,通常の肺癌とは生物学的態度が異なる.
細胞像
(1)豊富な腫瘍細胞の出現
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.