増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 4 溶血検査
2.検体の取り扱い,保存法,注意点および検査に用いる抗凝固剤の種類と使い分け
藤井 寿一
1
1東京女子医科大学中央検査部
pp.809-810
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905472
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検体の取り扱いと保存法
1.浸透圧抵抗試験
浸透圧抵抗試験は新鮮血ないし脱フィブリン血を用いる方法がある.無菌的なフィブリン血の作製は血液量約10mlの場合,50mlの三角フラスコに直径5mmのガラス玉10個を入れ,アルミ箔でふたをし,乾熱滅菌したものを用いる.細菌(特に溶血性細菌)による汚染は37℃,24時間孵置血による測定結果に大きな影響を与える.抗凝固剤を用いずに採血した血液10mlを,上記の三角フラスコの壁面を伝わせて静かに入れる.フラスコ内のガラス玉がよく転がるように,直径約10Cmの円を描かせながら,約10分間軽くフラスコを回す.7〜8分するとフィブリンが析出してガラス玉にまつわりつくため,玉の転がる音が小さくなる.念のために1〜2分間回転を続ける.この脱フィブリン操作により機械的溶血も当然起こりうるため,回転の強さや時間は必要十分で,かつ検体間でばらつきがないように行わないと誤差の原因となる.
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