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耐熱性デヒドロゲナーゼ
松川 寛和
1,2
,
岡 治
1
,
藤田 剛
3
1オリエンタル酵母工業(株)大阪バイオ工場
2現:長浜生物科学研究所
3オリエンタル酵母工業(株)長浜生物科学研究所
pp.1109-1111
発行日 1998年11月1日
Published Date 1998/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903659
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はじめに
生体成分の分析に酵素が利用されるようになって,早や半世紀になろうとしている.化学法に代わり,分析機に優しく特異性の高い酵素的測定法は,臨床化学分野の検査試薬では今や主流の分析法といっても過言ではない.酵素的測定法で利用される酵素の中でも,オキシダーゼ(酸化酵素)と並んで汎用される種々のデヒドロゲナーゼは,光学的シグナルへ変換するデバイスとして最も重要な酵素群である.
近年,検査試薬の製品形態は凍結乾燥試薬から“分析機器にすぐに使用できる調製済み試薬”である液状試薬へと進化した.液状試薬の普及に伴い,デヒドロゲナーゼに対して新たな性能が要求されている.一般的に,液状試薬には長期間の溶液保存に耐えうるよう,熱に安定な耐熱性デヒドロゲナーゼが選択されることが多い.しかし,単に熱に安定で,長期間の溶液保存に耐えうる安定性のみならず,基質・補酵素など他の構成成分と組み合わせたときの測定範囲・測定時間・測定精度の向上や,共存物質の影響回避・バラツキ抑制など,検査薬としての基本的性能を高める酵素であることが重要となる.液状試薬用デヒドロゲナーゼに要求される条件を表にまとめる.
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