病理検査こぼれ話
術中迅速病理診断の際のサンプリング—ホルマリン未固定の新鮮材料からの電顕,生化学,分子生物学的検索などへの展開
山崎 一人
1
1慶應義塾大学医学部病理診断部
pp.298
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903530
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術中迅速病理診断の際に提出されるホルマリン未固定の新鮮(ナマの)材料からいろいろな方法でサンプリングし,免疫組織化学や電顕,生化学,分子生物学的検索などへの幅広い検索の展開が,正確な病理診断ばかりでなく,細胞診や研究的な面でも寄与することが多いことを1例挙げて紹介したい.
ある日,術中病理診断のために26歳の男性の左脛骨骨腫瘍の一部が病理室に提出された.約半年ぐらい前から左脛骨の痛みが出現し,最近になり痛みの増強と局所の熱感が出現し,整形外科を受診したそうである.X線上,左脛骨の近位側,骨幹端から骨端に骨融解像がみられ,MRI,アンギオグラフィー像より臨床的にはosteosarcoma,悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma;MFH),roundcell tumor(Ewing sarcomaなど)などを考えるとのことであった.
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