トピックス
AIDS診療に必要な微生物検査
後藤 美江子
1
1東京大学医科学研究所感染症研究部
pp.484-487
発行日 1998年5月1日
Published Date 1998/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903416
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はじめに
AIDS(acquired immune deficiency syndrome,後天性免疫不全症候群)はHIV(human immuodeficiency virus,ヒト免疫不全ウイルス)がCD 4上場性リンパ球(CD4)やマクロファージに感染し,惹起される慢性の重症免疫不全症である.その病態は急性感染症期,数年〜十数年の無症候期を経て,CD4数の低下とともに徐々に免疫系が破綻し,HIV自身による感染症状のほかにさまざまな日和見疾患を発症する.当院における日和見疾患の頻度を図1に示しているが,そのほとんどは感染症であり,診断のための検査として微生物検査は重要である.検査技術として従来の塗抹分離培養検査,免疫血清学的検査,免疫染色法,代謝産物測定などが川いられるが,近年,PCR(polymerase chain reaction)法などの遺伝子診断技術が有力な検査法となっている.
本稿では日和見感染の概要と,AIDS診療のために当施設で対応している微生物検査の迅速診断体制のうち,ポイントとなる項目について概説する.
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