輸血検査メモ
HLAのマッチングと臓器移植
小林 孝彰
1
,
打田 和治
2
,
高木 弘
1
1名古屋大学医学部第2外科学教室
2名古屋第二赤十字病院移植外科
pp.120-121
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903115
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自己と非自己を識別し,免疫反応(拒絶反応)に関与するHLA抗原は臓器移植の際の移植抗原として大きな障壁となっており,その適合度(マッチング)は移植予後に影響する重要な免疫学的因子である.HLAの適合度は臓器移植の臨床において,特に死体腎移植のレシピエント(臓器受容者)選択基準として用いられているが,心,肝などの移植では移植待機患者の重症度(緊急性),臓器の大きさが最優先されている.HLA以外には,血液型適合やドナーに対する既存抗体の有無を調べるダイレクトクロスマッチが陰性であることが重要である.
わが国では1995年4月から死体腎移植のためのネットワークが組織され,全国を5つの地域ブロックに分けて活動を行っている.ドナー(提供者)とHLA-A,B,DR6抗原が適合した腎移植待機患者は良好な予後が期待されることから,地域ブロックを越えて全国レベルで最優先に分配されている.6抗原適合患者が存在しなければ,地域ブロック内で,よりHLAの適合した患者がレシピエントとして選択される.このとき,免疫学的に重要なDR抗原の適合がA,B抗原より優先されている.
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