増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅵ.感染症とその検査法
24.日和見感染症としての寄生虫症
辻 守康
1
1杏林大学医学部熱帯病・寄生虫学
pp.8,211-214
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902779
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はじめに
宿主である人が健康な場合には増殖が抑えられて不顕性感染のかたちをとっており,宿主に免疫能の低下など防御機構の不全が起こった場合に発症する寄生虫症をいう.未熟児,虚弱児,栄養不良者,先天性免疫不全患者,後天性免疫不全症候群(AIDS)患者あるいは白血病や悪性腫瘍,臓器移植などの治療の目的でステロイド剤や制癌剤など免疫抑制剤を投与した場合にみられる.最近話題となっている疾患としてニューモシスチス・カリニ肺炎,クリプトスポリジウム症が有名である.広義の日和見感染症としてはその他トキソプラズマ症,赤痢アメーバ症,糞線虫症,腸カピラリア症なども含まれるが,これらの疾患は免疫不全でない場合でも感染により発症がみられるので,本稿では前記の2疾患について述べることとする.
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