特集 生食のリスク
生野菜と寄生虫症
宇賀 昭二
1
1神戸大学大学院保健学研究科寄生虫学研究室
pp.47-49
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102312
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はじめに
寄生虫は複雑な生活史を有しているが,その約70%は経口感染する.これら経口感染する寄生虫のうち,原虫類は宿主から排泄されたシストやオーシスト注1)が水や土壌中で成熟した後,直接感染する場合が多い.一方,蠕虫類は虫卵が体外で成熟して感染する場合に加えて,中間宿主や保虫宿主を介して感染する場合が多い.
ヒトが生野菜を介して感染するケースでは,シスト(オーシスト)や虫卵などが外界で発育して感染する,いわゆる土壌媒介性の感染経路を有する寄生虫が中心となるが,それ以外にも中間宿主が野菜などに紛れ込んでいて感染する場合や,被囊したメタセルカリア注2)が水草などに付着し感染する場合もある.
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