増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅵ.感染症とその検査法
25.古典的ウイルス感染症
目黒 英典
1
1帝京大学医学部附属市原病院小児科
pp.215-218
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902780
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麻疹
■主要疾患と病原体
麻疹(measles)はRNAウイルスのパラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルス(measles virus)による疾患である.麻疹ウイルスに亜型はなく,他のヒトのウイルスとは血清学的に交差反応はないが,イヌジステンパーウイルスとは交差する.
通常の麻疹はコプリック斑(頬粘膜の内疹),カタル(呼吸器)症状,発熱と発疹の関係,特有の発疹と色素沈着などから臨床診断は容易である.発疹性疾患だが,全身性ならびに呼吸器症状の強い重症疾患である.日本では生ワクチンの効果により,その発生は減少してきている.潜伏期は9〜12日である.ただ,麻疹の減少した国に共通することだが,診療経験のない医師が増えてくると診断が遅れるケースも出てくるだろう.
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