増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅵ.感染症とその検査法
23.性感染症としての寄生虫症
竹内 勤
1
1慶應義塾大学医学部熱帯医学・寄生虫学教室
pp.7-8,207-210
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902777
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はじめに
性感染症(sexually transmitted disease;STD)の領域では性風俗の変化など種々の要因によって世界中で疫学相の変化を伴った疾患や,それまで知られていなかった新しい疾患がここ何年かで見いだされてきている.例えばHIV感染によるAIDSなどは後者に属するし,1980年代当初の男性同性愛者のsexualactivityの増大に起因したoral-anal sexによる経口感染症の発生などは前者の例として挙げることができよう.このように性感染症はそれぞれの時代においてその特徴を如実に反映して変化してきている.
本稿においては寄生虫領域で性感染症の病原体となり得る内部寄生虫(endoparasite;人体の内部臓器に寄生する)と外部寄生虫(ectoparasite;人体の外表面に寄生する)について病原体の概要,疾患像,診断法などを概観し,併せて日常これらの検査に携わる一般検査室での注意事項などをも述べたい.
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