検査データを考える
感染症と白血球
柏村 眞
1
,
染谷 貴美枝
2
1松戸市立病院内科
2松戸市立病院検査科
pp.367-371
発行日 1996年4月1日
Published Date 1996/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902670
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はじめに
白血球は細菌・真菌・原虫・寄生虫・ウイルスなどの微生物の侵入から身体を守る働き(生体防御)を担った細胞群である.さらに白血球は体内に出現する悪性腫瘍を撲滅させ生体を守る働きを持つ.白血球は顆粒球(好中球・好塩基球・好酸球)と単球,リンパ球(B細胞・T細胞)から構成されている.好中球は細菌や真菌から生体を守り,好酸球は寄生虫から生体を守る.単球は組織に入り大食細胞(マクロファージ)となり,初期感染への対応に当たる.好中球と大食細胞は微生物を貪食することで生体を守る.これらによる貪食は菌種を限定することなく非特異的である.一方,リンパ球は異物の特異性を認識・記憶することができる.リンパ球のうちB細胞は抗体を作り液性免疫として,T細胞は細胞性免疫として免疫の調節や細胞障害性を担う.
これらの白血球は微生物の種類や感染後の時期によって,それぞれの役割を担っており,また互いに緊密に協力しあって,微生物による感染から生体を守っている.
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