トピックス
イトラコナゾールによる低カリウム血症の発現
望月 真弓
1
,
久米 光
2
1北里大学病院薬剤部
2北里大学医学部病理
pp.82-83
発行日 1996年1月1日
Published Date 1996/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902606
- 有料閲覧
- 文献概要
イトラコナゾール(ITZ)は,皮膚科領域から内科領域までがカバーできる内服剤として繁用されているトリアゾール系の抗真菌薬である.本剤は真菌細胞膜の主要構成成分であるエルゴステロールの合成に関与するチトクロームP-450に特異的に結合してエルゴステロールの合成系を阻害する.本剤の特徴は,未変化体および主代謝物の双方に抗菌活性があり,半減期も長いことから1日1回投与が可能であること,また,脂溶性が高く組織貯留性に優れ,皮膚角質層には投与終了後も2〜4週間にわたり高い組織内濃度が維持され,効果が持続することである1).このようにITZは従来の経口抗真菌薬にはない,いくつかの特徴を持つが,副作用や薬物相互作用の面から注意すべき点も多い.ここではITZによる低カリウム1血症(hypokalemia)について解説する.
ITZの副作用は発売当初の発現率で1,028例中53例(5.2%)に67件が報告されている.その内訳は胃部不快感などの消化器症状4.1%,過敏症状1.0%が主なもので,そのほかに浮腫が0.6%にみられていた.一方,臨床検査値の異常は944例中41例(4.3%)に発現し,肝機能検査値の上昇が主なもので,血清カリウム値については,上昇をみた症例が2例であった.ところが最近になって低カリウム血症の自発報告がなされ,ITZの医薬品添付文書の副作用の項に1994年9月付けで追記された.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.