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上皮増殖因子(EGF)
清水 信義
1
1慶應義塾大学医学部分子生物学教室
pp.1194-1195
発行日 1988年9月1日
Published Date 1988/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204718
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上皮増殖因子(epidermal growth factor;EGF)は,1962年にS.Cohenによって発見され,その後発見された数多くのポリペプチド増殖因子の中で研究がもっとも進んでいる.EGFは雄のマウスの顎下腺から酸で抽出され,53個のアミノ酸から成る,分子量6025の安定な蛋白質である.ヒトの尿中に見いだされていた胃酸分泌抑制因子ウロガストロンはヒト型EGFであり,37個のアミノ酸が共通である1,2)(図1).
EGFの生理作用としては,新生マウスの眼瞼開裂や切歯出現の促進が顕著である.この作用は上皮の増殖とケラチン化によるもので,上皮増殖因子と名づけられたゆえんでもある.EGFは表皮細胞の増殖を促進することから,胎児や新生児の発達に重要な役割を果たしていると推定され,事実,ヒツジの胎児にEGFを注入すると,気道表皮の増殖が促進され,未熟児の硝子膜症が抑制された,という報告がある.さらに,各種動物の胎児および新生児組織の増殖や分化の促進,ヒツジの発毛促進,培養系では特に外胚葉系や中胚葉系の細胞の増殖を促進する.ニワトリの肺原基の発生も促進され,タイプII肺細胞の増殖が誘導されsurfactin産生量が増大する.
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