技術講座 微生物
コレラ菌の検査
宮城 和文
1
,
本田 武司
2
1関西空港検疫所
2大阪大学微生物病研究所細菌感染分野
pp.779-786
発行日 1995年9月1日
Published Date 1995/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902491
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新しい知見
行政上防疫対策の対象とするコレラ菌は,コレラエンテロトキシン(CT)産生性のものに限られたので,現在はRPLA法やビーズELISA法などの免疫学的方法を用いてCTの確認を行っている,近年はDNAプローブ法やPCR法などの遺伝子検出法も応用され,迅速,簡便で,特異的にCT選伝子を検出できるようになり,一部の検査機関で活用されている.
一方,インド(マドラス地方)で1992年の10月にGT産生性のVibrio cholerae non-O 1によるコレラ様疾患の大流行が発生し,多数の犠牲者が出た1,2).後にV.cholerae O 139(Bengal)と命名され2),WHOではコレラとして届けるよう勧告を出している3)。わが国ではすでに本菌が国内に入っており4),コレラに準じた扱いをしてはいるが,行政上はNAGビブリオ(V.cholerae non-O1)下痢症として扱われている.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.