技術解説 コレラ流行時の細菌検査
1.コレラ菌の検査
小寺 健一
1
1大阪大学微生物病研究会臨床検査部
pp.586-591
発行日 1978年6月15日
Published Date 1978/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914770
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忘れられていた検疫伝染病のコレラは,昨年和歌山県有田市に集団発生するに及び,身近な伝染病となった.コレラの我が国への進入は,海外旅行者の増大に伴って,旅行先で感染し保菌者の状態で入国する者が多くなるものと考えられる.
現在,多くの国で発生しているエルトールコレラはアジアコレラに比べて,症状は軽症または無症状のことが多い.典型的な症状は発熱がなく,激しい下痢"いわゆる米のとぎ汁様"または淡黄褐色の水様性の下痢,嘔吐を伴い重症な脱水状態に陥る.通常,患者が1名発見されれば,その周辺に軽症者または健康保菌者が潜在している可能性が多い.
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