増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
Ⅳ.無散瞳カメラによる眼底検査法
1.検査の意義
清水 一之
1
1東京大学医学部眼科学教室
pp.248-249
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902365
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目は,物を見るための臓器であり,光を受容し,物の形や色を識別する働きを持つ眼球と,眼球によって得られた情報を脳に送る視神経,それと結膜や涙器,外眼筋などの眼球付属器より構成されている.眼球は直径約24mmのボールのような形をしており,図のように外からの光は角膜,前房,水晶体,硝子体といった,正常では透明な組織を通って網膜に像を結ぶ.これらの透明な組織を通して眼球の内側を見るのが眼底検査である.眼底検査では視神経の出口である視神経乳頭や網膜の血管,神経線維,網膜下に透けて見える脈絡膜などが観察される.眼底は人体で直接血管を観察できる特殊な部位であり,眼底検査によって高血圧,動脈硬化,糖尿病などの患者において病変の現状や過去の経過をある程度把握することができる.
また,眼科領域の疾患の中でも緑内障などは成人眼疾患の1つであり,最近の調査では40歳以上人口の3.5%が緑内障であるといわれているが,その早期発見のためにも眼底検査により視神経乳頭の状態を観察することは非常に重要である.
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