マスターしよう検査技術
結核菌検査のバイオハザード対策
西郷 貴史
1
1(株)エスアールエル細菌部
pp.137-141
発行日 1995年2月1日
Published Date 1995/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902246
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ある地域での職業別調査によると,検査技師の結核症罹患率(人口10万対)は,173.4人で看護婦のそれと比べて4倍強と報告されている.また,近年の全国調査による報告でも結核菌検査従事者の結核発症率は著しく高く,一般の数十倍に達することが明らかである.感染を起こしたのと同じ病原体を扱う作業に従事している事実があるだけで因果関係は明らかでないものの,十分な対策が講じられない限り,病原微生物を扱う者は一般人よりも高い感染の危険にさらされているといわざるを得ない.管理責任者を含む関係者は,上記のような事態を直視し,協力してバイオハザード対策の確立と実行に当たらなければならない.結核感染のうちで発症に結びつく危険が最も高いのは経気道感染である.したがって,エロゾール(aerosol:汚染空気)の発生・拡散および吸入の防止に関する対策がバイオセーフティの基本原則となる.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.