増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅹ.輸血
7.輸血検査の精度管理
平野 武道
1
,
半田 誠
1
,
田野崎 隆二
1
,
上村 知恵
1
1慶応義塾大学病院輸血センター
pp.343-347
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901990
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■精度管理導入の環境
輸血療法の適正化に関するガイドラインが制定されて3年,ABO式血液型の発見後約1世紀,輸血後溶血副作用の主な原因となる血液型不一致が挙げられてから80年,交差適合試験においても,受血者血清に凝集しない血球を選ぶ主試験が考案されて約90年,クームス試験,酵素,低イオン法による検査が開発されて30〜50年を経過したのにもかかわらず,以下に示すような輸血副作用(表1)事故が皆無といえないのは,医療に従事する人間のチェックの識別と問題意識の低下,業務の不標準化が挙げられる.
血液型判定用血清基準として,国家検定によって品質管理されてきたが,1993年4月1日以降,血液型判定用血清の次のものが国家検定から削除される.ABO血清,乾燥抗A,B,血液型判定用血清,抗A,B血液型判定用モノクローナル,抗D血液型判定用血清(食塩抗体血清およびアルブミン液抗体)(化学修飾抗体血清)(混合血清)(モノクローナルアルブミン液抗体)(モノクローナル食塩抗体)(モノクローナル食塩およびアルブミン液抗体)(モノクローナルポリクローナル抗体混合)クームス血清などである.このことからこれら血清に対する認識を正しく持ち,自分の検査に使用する血清には十分の責任が持てるよう,品質管理を実施し,供給する試薬メーカーに対して十分の対応ができる知識,技術を備えて対処する必要がある.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.