増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅷ.感染症
3.ウイルス感染症の免疫検査
(3)ヘルペスウイルス感染症
中村 良子
1
1昭和大学藤が丘病院臨床病理科
pp.289-295
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901972
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■ヘルペスウイルス感染症の臨床検査
ヒトヘルペスウイルス科のウイルス(以下ヘルペスウイルスと省略)は,外径120〜130nmのエンベロープを持つ球状DNAウイルスで,α,β,γの3つの亜科に分類されている.ヘルペスウイルス感染症は,表1に示すように各年齢層にわたる多彩な臨床像を示す.
ヘルペスウイルスの特徴は,ヒトに初感染(多くの場合,幼小児期に不顕性感染)後,体内に持続感染(潜伏感染)することである.したがって,ほとんどの成人は抗体陽性で,ウイルスと生涯共存状態にある.免疫不全状態では,時に外因感染(初感染)と内因感染(回帰発症;reactivation)のどちらであるかの判断を要する.近年,ヘルペスウイルス感染症は臓器移植,輸血などに伴う医原性感染や,後天性免疫不全症候群(aquired immunodeficiency syndrome;AIDS)などのimmunocompromised hostにおける日和見感染症として注目されている.またアシクロビル(ACV),ガンシクロビル(GCV)などの化学療法が可能となり,迅速診断による早期治療が重要である1〜3).
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