増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅴ.自己免疫・アレルギー
2.アレルギー
(2)特異的IgE抗体
灰田 美知子
1
1東京大学医学部附属病院物療内科
pp.218-219
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901947
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■測定の目的
アレルギー症状を呈している患者に対し,どのアレルゲンに対し,どの程度のIgE抗体が検出できるかを測定するためにIgE・RAST法,CAP法などがある.総IgEが一般的なアレルギー性疾患,原虫以外の寄生虫感染,木村病,先天性免疫不全症などで上昇するのに対し,IgE・RASTは特異的であり,原因と推定されるアレルゲンに対するIgE抗体値がわかり,患者のその特定のアレルゲンに対する感作状態の目安として利用できる.
測定可能なアレルゲンの種類は花粉,動物表皮,室内塵,真菌など170種類程度である.本邦で最も陽性率が高いアレルゲンは室内塵中のダニ,スギ・ブタクサ・カモガヤなどの花粉,アスペルギルス・アルテルナリア・カンジダなどのカビ類,また食物アレルゲンでは卵・大豆・牛乳などが大切である.それぞれアトピー型気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎の際,その原因アレルゲンとなっている可能性が高く,これらの原因アレルゲンの検索を行う必要がある場合,皮膚テストまたはRAST法,CAP法などの試験管内検査法で特異IgE抗体の存在を測定する.現在は多くのアレルゲンに対する特異抗体を同時に測定するシステムも利用されている.これらの検査で2+以上の明らかな陽性所見が得られれば,そのアレルゲンが患者の病態に十分関与していると考えられるが,実際,患者の症状の発現に関与しているかについてはアレルゲンによる誘発試験を行う必要がある.
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