増刊号 免疫検査実践マニュアル
総論
Ⅱ.免疫学的測定法
5.標識免疫測定法
(4)蛍光イムノアッセイ(FIA)
橋本 琢磨
1
,
西部 万千子
2
1金沢大学医学部臨床検査医学
2金沢大学医学部附属病院検査部
pp.61-66
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901883
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■蛍光測定の原理
光の照射により基底状態のπ電子が励起エネルギーを吸収し励起状態となり,基底状態に戻る際には光を放出する.放出される光子(蛍光)のエネルギーは,吸収される光子のエネルギーよりも常に小さい.このため蛍光スペクトルと吸収スペクトルを比較すると,蛍光帯は常に吸収帯より長波長側に現れる(stokes shift).蛍光物質は特有のスペクトル特性を有するため,使用する蛍光物質については,励起スペクトルと蛍光スペクトルを測定し,各スペクトルの極大吸収を求めて試料測定時の励起波長(ex. max)ならびに蛍光波長(em. max)を選択する.蛍光物質の蛍光特性(蛍光スペクトル,蛍光強度,蛍光量子収率注1))は,溶液の環境因子,特に溶媒,温度,pHおよび化学構造の影響を強く受ける.
注1)吸収した光エネルギーが蛍光となる効率.
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