増刊号 尿検査法
II.各論
24.尿細胞診
(5)判定の実際・2(良性・悪性境界を中心に)
三井 邦洋
1
,
大須賀 明子
1
1横浜市立市民病院病理部
pp.304-306
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901161
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はじめに
尿路に発生する腫瘍の大部分は移行上皮性腫瘍で,その多くは乳頭状に増殖する腫瘍であり,良性である乳頭腫と悪性である乳頭状癌がある.この腫瘍の良性,悪性の境界を考えると乳頭腫(G0)と分化型乳頭状癌(G1)の細胞像を論ずることになるが,現在ではこれら乳頭腫と分化型乳頭状癌の細胞形態的差異を定めるのは困難といわざるをえない.
また,非乳頭状移行上皮癌の前癌状態であろうと考えられている尿路上皮の異形成(dysplasia)についてもその研究は浅く,細胞形態学的にはほとんど確立されていないのが現状であり今後の研究課題である.
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