増刊号 尿検査法
II.各論
23.微生物検査
2)尿路感染症の検査法
(5)検出菌の臨床的評価法
広瀬 崇興
1
1札幌医科大学泌尿器科教室
pp.284-289
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901153
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はじめに
尿路感染症(主に腎盂腎炎と膀胱炎)を大きく分類すると,基礎疾患(尿流停滞,尿路異物結石など)を有しない単純性尿路感染症と,基礎疾患を有する複雑性尿路感染症がある.これらの尿路感染症は,いうまでもなく治療をした場合の反応性(難治性)の違いもあるが,そのほかに起炎菌分布や複数菌による感染頻度にも大きな違いがある.また,単純性尿路感染症はほとんど発熱や排尿痛などの自覚症状を有する急性感染症であるのに対し,複雑性尿路感染症では,自覚症状が軽微である慢性感染症と,それが増悪して症状が出現する急性増悪症がある.さらに感染部位としては上部尿路感染症と下部尿路感染症,その両者にまたがった感染症があるが,これらの起炎菌には違いはほとんどない.
そこで本稿では,主に尿路感染症を単純性尿路感染症(I群),カテーテルを有しない複雑性尿路感染症(II群),カテーテルを有する複雑性尿路感染症(III群)の3つの病態群に分類して,それぞれの尿路感染症における起炎菌について臨床的に評価してみたい.
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