増刊号 尿検査法
II.各論
19.ホルモンおよび関連物質
5)副腎髄質関連
(3)ホモバニリン酸
吉村 学
1
1京都府立医科大学臨床検査医学教室
pp.224-225
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901128
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はじめに
ホモバニリン酸(homovanillic acid;HVA,3-methyl-4-hydroxy phenyl acetic acid)はドーパならびにドーパミンの最終代謝物であり,これらアミンの増減する疾病の診断に利用される.ドーパはドーパミンおよびメラニンの前駆体であり,またドーパミンもノルアドレナリンやアドレナリンの前駆体であるのみならず,それ自体がカテコールアミンの一種であり(図),生体内の主要な神経伝達物質またはホルモンとして,中枢神経系,交感神経ならびに末梢組織において種々の生理活性を示す.
血中,尿中,髄液中HVA濃度測定は体内でのドーパまたはドーパミン放出・代謝の動態を反映することから,中枢および交感神経機能の評価を行うことができるのみならず,クロム親和細胞腫や悪性黒色腫の診断に有用である.近年,乳幼児の神経芽細胞腫スクリーニング検査として,尿中HVA濃度測定は広く行われている.
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