増刊号 尿検査法
II.各論
2.尿糖
(3)その他の糖
佐々木 禎一
1
1札幌医科大学附属病院検査部
pp.72-73
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901070
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はじめに
尿中のグルコース以外の糖の量は,表11)のように微量で,先天性代謝異常や糖吸収試験の場合などのほかは日常検査の対象となることは少ない.しかし負荷試験後に,尿中のガラクトース(肝疾患),キシロース(消化不良症候群,腎不全),キシリトール(肝硬変,五炭糖尿症),果糖(良性果糖尿症,遺伝性果糖不耐症),マルトース(腎不全),ショ糖(シュクロース,イソマルトース;吸収不全症)などの排泄量を測定することがある.またガラクトキナーゼ(EC 2.7.1.6)やUDP-グルコース4-エピメラーゼ(EC 5.1.3.2)の異常症や,キシリトールレダクターゼ(xylitol reductase;Xyli-R,EC 1.1.1.10)欠損症,遺伝性果糖不耐症,先天性家族性乳糖不耐症などの代謝異常症では,それぞれガラクトース,キシリトール,果糖および乳糖(Lact)の測定が,実施される.そのほか,妊娠中および授乳中の婦人では乳糖が,腎不全でマルトースを補液した後にはマルトースが,そして高血糖時には果糖が検査の対象となることが多い.
最近糖尿病や腎不全などの症例では,尿中の1,5-アンヒドログルシトール(1,5-anhydroglucitol;1,5-AG)の増減が,また各種の癌,胃潰瘍あるいは肝硬変の際の尿中フコース量の増加も注目されている2).
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