増刊号 尿検査法
I.総論
2.尿からみた水・電解質と酸・塩基平衡
(1)水・ナトリウム代謝調節
田村 展一
1
,
磯田 和雄
1
1埼玉医科大学総合医療センター第4内科
pp.14-15
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901050
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尿細管の働き
糸球体を形成する毛細血管で濾過されてできる原尿は水と溶質からなる溶液で,これは尿細管腔から尿細管周囲血管に再吸収されたり,反対に尿細管周囲血管から溶質が尿細管腔へ分泌されるなどの過程を経て最終的な尿が生成され体外に排出される.腎糸球体からは1日に約150 lの原尿が濾過形成されるが,Naと水を含めてその大部分(約99%)は尿細管から再吸収される.腎臓はNaと水の排泄量を調節し体液量と血清浸透圧を一定に保持するが,尿細管の分泌と再吸収には腎血流量や糸球体毛細血管圧などの血行動態や多くの液性因子が関与している.
ネフロンは部位別にさまざまな機能を持つ細胞から形成されている.ネフロンの各部位は図1のように区別され,そのうちNaと水を再吸収する部位は近位尿細管,ヘンレ係蹄の上行脚(ただし水は透過しない),遠位尿細管,集合管である.
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