生体のメカニズム 体液調節機構・4
ナトリウム代謝調節機構
吉富 宏治
1
,
藤島 正敏
1
1九州大学医学部第二内科
pp.351-355
発行日 1995年4月1日
Published Date 1995/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902300
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はじめに
細胞外液量(extracellular fluid;ECF)の調節は,生体の内部環境を維持するうえで必要不可欠な機構である.ECFを構成する溶質の90%以上をナトリウム(Na)が占めており,Na濃度によってECFの浸透圧は規定されているといってよい.さらにこの浸透圧は抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone;ADH)の作用によって,非常に狭い範囲に調節されている.したがって,Na濃度の調節は,血漿浸透圧の調節であり,最終的には細胞外液量(volume)の調節と考えてよい.1日に摂取するNa量は,決まっているわけではなく,日によってまったくないといってよいほど少ない日もあれば,大量に摂取する日もある.ところが,生体のNa濃度はほぼ一定に保たれており,ECFも一定に保たれている.このために,Na代謝調節系が働いているのである.Na濃度を一定に保つためには,ECFのNa量を感知するシステムと腎臓においてNaを吸収したり,排泄するシステムが必要である.本稿では,生体におけるNa代謝調節系の概要を述べてみたい.
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