検査ファイル
GVHR
南雲 文夫
1
1佐賀医科大学附属病院検査部
pp.172
発行日 1992年2月1日
Published Date 1992/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900960
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GVHR(graft versus host reaction)とは,移植片対宿主反応のことで,この病態をGVHD(graft versushost disease)と呼び,臓器移植,特に骨髄移植後に発症することが知られている.近年,手術後における術後紅皮症とされていたものがGVHDによるものと解明され,輸血後GVHDとして注目されている.その発症メカニズムは,移植された臓器(移植片:graft)中のリンパ球が患者(宿主:host)内に生着し,移植片のリンパ球側からみれば,宿主は非自己であるため宿主の組織を攻撃することにある.輸血も血液という臓器の移植である.GVHDは移植後の拒絶反応の逆の反応といえる.
骨髄移植後と輸血後GVHDの比較を表に示す.前者は,慢性GVHDが多く,治療可能であり,軽度なGVHDは白血病細胞を排除するので予後が良いとされている.後者は急性経過をたどり死亡率が極めて高いことが特徴である.
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