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fibroepithelioma(線維上皮腫)—三次元構造
山田 伸夫
1
1東京大学医学部皮膚科
pp.453
発行日 1991年5月1日
Published Date 1991/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900603
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最近,世界的に皮膚悪性腫瘍が増加している.特に基底細胞癌の増加は著しく,わが国でも有棘細胞癌を追い抜き,最も発生率の高い皮膚癌となった.癌とはいっても基底細胞癌の悪性度は低い.基底細胞上皮腫との呼称もある.発育がゆっくりで,局所破壊性はあるが,転移はほとんどない.
図aにわれわれの経験した基底細胞癌の臨床像を示す.58歳男性の体幹に生じた,小指頭大の結節である.5mm離して切除した.図bにその組織のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色像を示す.このタイプは,fibroepithelioma(線維上皮腫)と呼ばれ,基底細胞癌の0.3〜1.4%を占める珍しい亜型である.網目状の腫瘍細胞索と,間質の過形成,特に細線維の増殖を特徴とする.
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