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発作性夜間血色素尿症における補体インヒビターの欠損
木下 タロウ
1
1大阪大学微生物病研究所難治疾患バイオ分析部門
pp.388-389
発行日 1991年4月1日
Published Date 1991/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900587
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発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria;PNH)は,補体による溶血と血色素尿を主徴とする溶血性貧血である.PNH患者の赤血球の中には,補体の溶血作用に対する抵抗性が低下している異常な集団があり,自己補体により破壊される.補体に触れている正常な自己細胞表面には,補体の傷害作用から細胞を保護する補体インヒビターが存在している.そのため,たとえ細胞表面で補体の活性化が起こっても傷害されない.しかし,PNH患者の異常赤血球は,ハム試験や砂糖水試験のように強制的に補体を活性化させると溶血を起こす.最近,数年の研究で補体抵抗性の低下した赤血球では,自己細胞を保護している補体インヒビターのうちの三つが欠損していることが明らかになった.おそらく,生体内でもPNHの異常赤血球は感染,その他に伴う補体の活性化が細胞膜表面に及んだときにその進行性を阻止することができずに溶血すると考えられる.
PNH患者の異常赤血球で欠損している補体インヒビターは,decay-accelerating factor(DAF),homologous restriction factorあるいはC8 binding protein(HRF/C8bp),そしてCD59の三つである.
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