増刊号 血液・尿以外の体液検査法
3 唾液
B.一般検査
谷岡 博昭
1
,
長門 俊一
1
1愛媛大学医学部歯科口腔外科学教室
pp.565-566
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900158
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一般性状
唾液の性状や組成は,唾液腺の種類により,また同一唾液腺からの唾液であっても動物の種類,分泌刺激の条件,唾液分泌速度,さらには血液組成,精神状態などの差異に基づいて大きく変動する.よって,その平均値は単なる目安であることを常に念頭に置いておくことが必要である.また口腔内に貯留した唾液中には食片,脱落細胞成分,微生物などが混在しており,組成は極めて多様である.
唾液分泌量は1日1〜1.5lとされているが,安静時分泌量は個体間で大きく異なり,このため1日分泌量も個体により大きく変動する.色調は無色透明で適度の粘性を有する.粘性はムチンの含有量に左右され,舌下腺唾液が高く,耳下腺唾液は低い.顎下腺唾液は両者の中間値を示す(表3).
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